「好きなことで生きていく」に疲れた人へ。「事務」で人生を仕組み化する知恵
「好きなことを仕事にする」という理想と現実の狭間で悩む全ての人へ。事務という意外な切り口から、新しい働き方のヒントを提案する『生きのびるための事務』をご紹介。夢と生活の両立に悩む方に、具体的な道筋を示す一冊。
こんにちは。のりーです。
「好き」がないことが、ずっとコンプレックスだった
「好きなことで生きていく」という言葉に、プレッシャーを感じたことはありませんか。
私はあります。むしろ、長年コンプレックスでした。3食忘れるほど熱中できるものが、自分にはない気がしていたからです。やりたいことが見つからないまま年齢を重ねていくことへの、静かな焦り。
そんなときに出会ったのが、「事務」というまったく意外な切り口から働き方を問い直すマンガでした。

「事務」は、地味な作業じゃなかった
タイトルを見たとき、正直、経理や書類整理の話だと思いました。でも違いました。
この本で語られる「事務」とは、好きなことを続けていくための方法論であり、日常をしなやかに守るための知恵です。そして「才能とは、いつまでも楽しく好きなことを続けられること」という定義に、思わず肩の力が抜けました。
特に衝撃だったのは、運慶やピカソといった芸術家たちも、自分の好きなことだけをやっていたわけではないという事実です。彼らはちゃんと法人をつくり、他人の需要に応える「仕事」をしていた。「自分の好きだけを貫いて評価されるのが本物だ」という思い込みは、事実ではなかったのです。
やるべきことを淡々と続ける。そのために仕組み化する。そうして生まれた余裕で、自分が熱量を傾けられることに時間を割く。順番は、そっちだったんですね。
24時間を「見える化」してわかったこと
本書に「24時間の使い方を円グラフにする」という演習があります。やってみました。
自分のことは自分が一番わかっている、と思っていましたが、頭でなんとなく把握しているのと、手を動かして見える化するのとでは、発見がまったく違いました。
面白かったのは、「理想の1日を描いてみて」と言われたとき、今の1日がそれほど嫌じゃないことに気づいたことです。
私にとって大事なのは、朝に挽きたての豆で淹れたコーヒーを飲む時間。運動する時間。夜8時間しっかり眠ること。家族と朝夕のごはんを食べること。それさえ満たせていれば、「好きなこと」に固執しなくてもいいんじゃないか、と思えました。
「好きなことで生きていく」という大きな看板に圧倒されなくても、ささやかな好きで満たされた日常を守ることが、私にとっての「生きのびること」だったのかもしれません。
問題があるのは「自分」ではなく「やり方」
著者はこう言います。自己否定はダメ、かといって無理に自己肯定もしなくていい、と。
この言葉がストンと腑に落ちました。行き詰まりを感じているなら、疑うべきは「自分」ではなく「やり方」です。さほどおもしろくない作業を仕組み化して、ストレスを減らす。当たり前のことをちゃんとやれる環境を整える。それだけで、日常の機嫌はずいぶん変わります。
「できることだけやればいい」という著者の言葉は、やさしいようで、実はかなり本質的なことを言っています。「好きなこと」が見つからなくて焦っている人にも、夢と現実の狭間で悩んでいる人にも。事務という道具を味方につければ、自分なりのバランスは、自分で設計できます。
次号もお楽しみに!
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