「今日もできなかった」自分にさよなら。会社員に戻った私の「自分を愛する」朝時間
「今日も何もできなかった…」とSNSを眺めて自己嫌悪する夜にさよなら。会社員に戻った著者が『朝イチのひとり時間が人生を変える』を読み、8時間睡眠と家族時間を守りながら「自分を愛する朝」を実践。人生の主導権を取り戻すまでを綴る、ワーキングマザーの実践記。
こんにちは。のりーです。
私は2024年に8年間のフリーランスとしての活動に一区切りをつけ、再び組織人としての日々をスタートさせました。
この変化で生まれた、私にとって一番大きな「新しいもの」。それは「通勤時間」です。
会社までは車で片道約20分。決して遠くはありませんが、往復すれば毎日40分。私はどうも「ただ運転する」のが「もったいない!」と思ってしまう性分なんですよね。
「この時間をどうにか活用できないか?」
そう考えて始めたのが、オーディオブックでの「耳読書」でした。
そして、この新しい習慣の中で、今の私の心に響き、現在進行形で影響を与え続けてくれている一冊に出会いました。それが『朝イチのひとり時間が人生を変える』という本です。
「〜すべき」からの解放。早起きは「自分の機嫌をとる」聖なる時間
あなたは「早起き」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「何か大きな目標を達成するため」「資格試験に合格するため」——そんな、ストイックな自己啓発のイメージが強いかもしれません。
もちろん、この本も「早起きをしましょう」と提案しています。ですが、その方向性は、私たちが思い浮かべるものとは少し違っていました。
1日24時間。老若男女、お金持ちであろうとそうでなかろうと、1日に与えられた時間の長さは、すべての人に平等に与えられています。それなのに、その1日の“質”が人によって違うのはなぜなのか。そして、最終的にその人の“成功”や“幸せ”を分けるのは、一体何なのでしょうか。
本書が一貫して訴えているのは、早起きは「何かを成し遂げるための時間」である前に、何よりもまず「“自分のためだけ”の時間を持ちましょう」ということでした。
目標がなくたっていい。
ただ、静かな朝に、自分のためだけにコーヒーを淹れて飲む。好きな本を読む。あるいは、好きなテレビを見る。そんな、誰のためでもない、純粋な「自分の時間」を確保すること。それこそが早起きの真髄だと、この本は語りかけてきます。
なぜ「夜」ではダメなのか?
「自分の時間なら、夜だっていいんじゃない?」
そう思いますよね。私もそう思っていました。ですが、現実はどうでしょう。
夜に「自分の時間」を確保しようとすると、予期せぬ残業、同僚や友人からの急な誘い、家族の用事など、自分ではコントロールできない要素が次々と発生します。
そして何より、一日の終わりには気力も体力もクタクタ。「今日こそ、あの積読(つんどく)を読もう」と意気込んでいたはずなのに、いざその段になると、もう活字を追うエネルギーが残っていない。
結局、SNSや動画をぼんやりと眺めているうちに、時間だけが溶けていく……。「今日も何もできなかった」と自己嫌悪に陥っている方も多いのではないでしょうか。
対して、「朝」の早い時間は、誰にも邪魔されにくい。
家族がまだ寝静まっている、仕事の連絡も来ない、まさに「聖域」とも言える時間です。
私たちはどうしても、「しなきゃいけないこと」(仕事や家事)に追われて一日を終えがちです。もし、それだけで一日が終わってしまったら、「私、今日いったい何してたんだろう…」と、打ちひしがれることすらあります。
だからこそ、誰にも邪魔されない朝の時間帯に、「自分がやりたいこと」——たとえそれが、他人から見れば優先順位が低いことだったとしても——を意図的に組み込む。
それは、日常のささやかな幸せを感じる時間を持つことであり、「自分で自分のことを幸せにする」という、とても大切な行為なのです。この本は、その積み重ねこそが、結果として人生の満足度を高めてくれるのだと教えてくれました。
過去の「義務」の早起き。今の「自分」のための早起き
振り返ってみれば、私自身、これまでも何度か「早起き」に挑戦した時期がありました。
最初は小学校6年生の時。中学受験のためでしたが、昔から夜に起きていられないタイプだった私は「朝に勉強するしかない」と、5時や5時半に起きていました。
次は、社会人になってから。公務員試験を受けようと決めた時。働きながら勉強時間を捻出するために、やはり夜は無理だと、朝早く起きていました。
そして2017年頃。熊本に移住し、保険会社に勤めながらライターになろうと実績作りに励んでいた時。やはり時間がないからと、朝の時間を使っていました。
でも、これらはすべて「受験に受かるため」「試験に合格するため」「ライターになるため」という、明確な「必要性」に迫られての早起きでした。
しかし、今回私が始めた早起きは、動機が根本から違います。
それは、誰かに強制されたものでも、何かを達成するためでもない。ただ「自分を大切にする」ための時間なのです。
早起き ≠ 短時間睡眠。私が「8時間寝るため」に始めたこと
ここで強調しておきたいのは、「早起き」は決して「短時間睡眠」を意味しない、ということです。
実は私、昔流行った短時間睡眠にもチャレンジしたことがあります。結果は、もちろん挫折。なぜって、日中、猛烈に眠くなるから。
人によって最適な睡眠時間は違います。一般的に大人に必要な睡眠時間は7時間と言われていますが、私はどうも7時間だと足りません。しっかり「8時間」寝ないと、日中のパフォーマンスが落ちてしまう。私にとって、8時間睡眠の確保は、何物にも代えがたい最優先事項なんです。
では、どうするか?
答えはシンプル。「逆算」です。
朝5時半に起きると決めたなら、8時間寝るためには、夜の9時半(21時30分)には布団に入っていなければなりません。
つまり、1日のスケジュールは「朝5時半に起きる」ことからではなく、「夜9時半に寝る」ことから組み立てていくことになります。この時間を死守するため、日中の仕事も「どうすれば定時で終わらせられるか」を常に考え、段取りや効率をかなり意識するようになりました。緊急性の低いタスクは思い切って翌日に回す判断をしますし、出席する必要性が低い遅い時間の会議には参加しない、といった線引きもするようになりました。
というのも、我が家には「夕飯は家族で一緒にとる」という、もう一つの大切なルールがあるからです。(さすがに毎日は難しい日もありますが)「家族と夕食をとり、かつ夜9時半には寝る」。
この両立を目指すため、日中の効率化は私にとって必須です。その結果、もちろん、夜の予定は適度に断る必要が出てきます。
そこまでして早起きを再開したきっかけは、会社員になったことで、フリーランス時代に日課にしていた「運動」の時間が取れなくなったことでした。
「帰宅後にやればいい」と思っていても、前述の通り、夜は疲れてしまい継続できない。「運動できていない」=「ダメな自分」をどうにかしたかったのです。
そんなときに出会ったこの本を読んで「あ、そっか。朝にやればいいんだ」と、気づかされました。
今の私の朝のルーティンはこうです。
5時半に起床。まず温かいお茶を飲んで、体を内側から温めます。それから、30分間のヨガ。6時頃からは、日記を書いたり、メールをチェックしたり、少しだけ仕事の準備をしたり。
そうして心身ともに整えてから、朝の支度に取り掛かります。
「私、ちゃんとできてる」と思えることが、すべて
この「朝のひとり時間」を始めて、約1ヶ月が経ちました。
正直に言って、何か目に見える大きな成果が生まれたわけではありません。
でも、私の中には確かな変化がありました。
それは、「今日も運動できなかった…」という小さな罪悪感が消え、「今日も朝、30分運動できた」という事実が毎日積み重なっていくこと。そして、それが「私、ちゃんと続けられてるじゃん」という、ささやかですが、確かな「自信」になっていることです。
「やりたいと思っているのに、できていなかったこと」に、一日の最初に優先的に取り組む。
それを続けていくことで、これまで気づかなかった自分に気づいたり、もしかしたら新しい目標が芽生えたりするかもしれない。
これこそが、この本で語られていた「自分を大切にできる」「人生の満足度が高まる」ということの正体なのかもしれない、と実感しています。自分を整えることで、日中に何が起きても「まあ、大丈夫」と、ゆとりを持って対応できる気がするのです。
朝のほんの少しの時間を変えること。
この本は、そんな「人生の主導権」を自分の手に取り戻す、静かで力強いきっかけをくれる一冊でした。

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